わが国への主要原油供給国であるサウディアラビア王国は、1970年代に自国の近代化促進及び石油化学産業の育成を国の目標に掲げ、日本に対して協力要請を行いました。この要請に応え、当社は1979年に産業界各社の出資により調査会社として発足し、サウディ基礎産業公社(SABIC)と共にサウディアラビアにおける石油化学の事業化検討を行いました。その後、日本政府からの支援を得て、ナショナル・プロジェクトとして日本側投資会社の体制を整え、石油化学事業に関する合弁事業契約を締結し、1981年に当社とSABICの折半出資によるSHARQを発足させました。
SHARQはサウディアラビアの競争力あるエタン、プロパンなどを原料に、繊維や樹脂製品の中間素材であるエチレン、エチレングリコール、ポリエチレンを製造しています。
2010年4月には第3次の生産設備増強を完了し、単一プラントとして世界最大級の規模となりました。また、従業員の95%以上(2021年末)をサウディアラビア人が占めるなど現地化を進展させ、当国の雇用創出に貢献してきました。2007年に当社の支援により開校したプラスチック加工技術訓練学校は、2021年12月までに2,300名を超える卒業生をサウディアラビア産業界に送り出し、同国の人材育成及び工業の発展に貢献しています。
当社はグローバルな視点に立脚し、SHARQの安全安定操業に役立つ新技術の導入、環境負荷低減、品質向上、製品の安定販売などに一層注力していきます。また、衣類や包装材など様々な最終消費財の原料安定供給を通じて「人々の生活の質向上」と「SHARQの事業価値向上」の実現を目指し、世界的潮流である低炭素・循環型経済に資する新規事業構築などサステナブルな社会の実現要請にも応えていきます。これらの活動を通じて、ステークホルダーの皆様と共に、SHARQ事業の更なる発展や社会価値の創造、更には、新たな時代に相応しい日本・サウディアラビア両国のより強固なパートナーシップ構築に貢献して参ります。